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成約者の声:M&A実施後、売上高が増大した住宅設備機器卸売会社の事例

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2026.05.29
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 本件概要

本件は住宅設備機器卸売会社(譲渡側。以下A社)と電設資材卸売会社(譲受側。以下B社)のM&Aの事例である。

譲渡側のA社の前オーナー代表者はM&A時の年齢が67歳であり、親族及び従業員への承継は困難と判断するに至ったためMAを検討。

譲受側のB社は事業成長を加速させるためにシナジーのある業界へのM&Aを検討しており、同様に卸売業を行っており、取扱品目が違うA社の案件に興味を持ち、交渉を重ねることによりM&Aの実行に至った。

両社は取引先の対象業種が同じであり、取扱品目も異なるため両社間のクロスセルが可能で双方メリットがありシナジーも生みやすい。また、双方の所在地も徒歩圏内と将来的に事業所を集約することで経費削減にも取り組みやすい。

インタビュー時はM&A実施後2年近くたっているが、譲渡側企業の売上も月によっては2倍以上の実績がでるなどM&A実施後順調に拡大している。

 

以下、譲渡側A社の元オーナー社長にM&Aに至った経緯や現在の状況についてインタビューをさせていただいた。

(執筆:日坂登紀広(中小企業診断士))

 

A社の概要を教えてください。

弊社は住宅設備機器の卸売を営んでいる会社です。2002年に創業し、その後1年ほどで法人設立しました。M&A当時の従業員は2名。大阪を中心にその周辺の工務店などを主な顧客としエアコン、トイレなどの商材をメインに販売している会社です。

長年の実績により仕入が強く他社に比べると安価に仕入できることが強みとなっています。

 

 

事業承継を考え始めたきっかけを教えてください

一番大きかったのは自分自身の年齢です。60半ばとなり近い将来会社を承継するのか廃業するのかを選択しなければいけない時期に来ておりました。

長年やってきた会社ですし、従業員もいます。廃業となると廃業による経済的コストも大きいため廃業という選択肢は最終手段だと思っておりましたので、誰かに引き継いでもらおうと思い始めたところに、加入している商工会議所の相談員の方から勧められたのがきっかけです。

それに加えてコロナ過となり、売上が伸び悩むようになりこのまま会社を続けることへの不安感も重なり事業承継を進めることにしました。

 

 

 

 

M&Aを選択した理由を教えてください。

親族や従業員は初めから継がせるという考えはなかったです。私には娘がおりますが、他に仕事もしているのと、業界的に女性がやっていくのも大変な仕事ではあるため継がせる気はありませんでした。また従業員は指示したことはしっかりとやるタイプで仕事はできるのですが、経営者としてやっていくには性格的に難しいと判断しておりましたので、こちらも初めから考えていませんでした。あらかじめ従業員にはM&Aをする旨の話をした際にも、特に反対もなかったので会社を残し、従業員の雇用を守るためにはM&Aをしていこうとの想いに至りました。

 

M&Aを進める中で不安はありませんでしたか?

不安はありました。一番の不安はしっかり引き継いでもらえる会社があるのだろうかということでした。

仲介業者としてつながり株式会社の他にも当初相談した商工会議所や信用金庫などにも相談をしました。そんな中、商工会議所や他の会社から紹介された先は、会社の乗っ取りや資産目当てかと思うほど、業界がそもそも違う会社だったり、私との価値観が違ったりとより不安感が増しました。

ニュースでもM&Aで問題になっていた時期でしたので大丈夫だろうかという思いが強くなりました。なかなかいい出会いがないまま時間が経過していきましたが、今回譲り受けていただいたB社を日坂さんより紹介いただきました。

 

 

今回譲り受けたB社を選んだ理由を教えてください。

B社は今まで紹介を受け面談をしてきた会社と違って、自社と同様の卸売業をされておられ、扱い商材も同じではなく非常に近い商材を扱っており、取引先も同様の業態に販売していたので両社の親和性は高いと思いました。また、所在地も徒歩圏内でありその点でも良かったと思います。

お相手の社長に合うまではどういう方なのかとの不安はありましたが、年齢は自身より20歳以上若い社長でしたが、誠実な対応でお話をしても真面目な方との印象が強く第一印象は良かったです。

一番懸念点していたのは従業員の処遇でしたが、面談を複数回進める中で、現状維持を基本として考えていると分かったため安心できました。

最初の面談は弊社に来てもらいましたが、B社にも訪問させていただき会社の中を見られたことや複数回の面談を実施できたことでB社のことが深く理解できたことが良かったです。

また、いくつかの取引先からは私が辞めるのなら取引は終了すると言われておりましたので譲渡後、私も引き続き雇用してもらえることとなりその点でも安心しました。

妻にも交渉期間中、相談しており、当初M&Aに懐疑的であったのですが、交渉の経緯や進捗を共有する中で妻も安心できたようでした。

 

 

 

成約後の心境やM&A後の変化などあれば教えてください。

自分自身M&A後については色んな感情が入り混じった状態でした。会社を手放してしまうという寂しさと会社経営に責任を持たなくてよくなり気持ちが軽くなった安堵感、これまでやってこられたという達成感、またこれからも仕事ができるという意欲が入り混じった不思議な感覚でした。

取引先については事業承継した旨の案内をしましたが、私自身がそのまま残るため以前と変わらず取引も継続してもらえております。

またM&A後の変化としてはやはり、業績の変化が一番大きいです。M&A時は多少売り上げが落ちていた時期ではありましたが、M&A時の売上高からすると現在は5割増以上で進捗しています。月によっては2倍以上の売上を計上している月もありお互いにとって良い影響が出ていると思います。M&A後2年近くたっていますが今のところマイナス面は感じられず、プラスの効果しかなくM&Aをしてほんとに良かったと思っています。

 

 

今後M&Aを検討される経営者の方に、M&Aを進めるうえでアドバイスがあればお願いいたします。

私自身がそうでしたがM&Aをすることについての不安は、相手がどういった人かどういった会社か、しっかりやっていただけるのかといったものが大きいと思います。それらの不安を解消するには相手企業を慎重に見極めることが重要です。

面談したところで隠されてしまえばわからないという人もいますが、自身は卸売をしているという商売上から人を見る目はあると思っています。1回の面談では判断できなくても複数回面談を重ねることである程度はわかります。私自身のケースで言えばB社さんとは5~6回は面談を重ねました。

事業承継を考えている経営者であれば長年会社経営そしており、また、どんな商売をしていても人を見る目というのは肥えてくると思います。自分の目でしっかりと見て、自分の価値観で判断すれば良い結果になるのではないかと思います。

あと一点、金額に固執しすぎないことも大事です。おいしい話はないとの基本的な認識のもと、信頼できる仲介者の意見を尊重することが重要だと思います。その点、今回、アドバイスいただいた日坂さんはお相手との面談を複数回セッティングいただいたり、親身になってお話を聞いてくれたりと大変ありがたかったです。他の仲介会社の担当とも何人か会いましたが、自分の会社を営業成績のための材料としか見ていないような態度でしたので会社のことを理解して考えてくれるアドバイザーを見つけるというのも重要かと思います。

 

アドバイザー所感

 一般的にM&Aをする際に考えるのが商流の上下で行う垂直展開か、同業種でシナジーを生み出していく水平展開が一般的であるが、本件において取扱品目は違うので完全な水平展開ではないにしろ近接業種による水平展開を行った好事例である。そのため全くの同業種間でM&Aを実施するより、両社間でクロスセルができ業績も順調に伸びている。

小規模企業のM&Aにおいての成約ポイントは金銭面も大事ではあるがそこに拘りすぎず、従業員雇用、取引先への影響、会社の成長性を総合的に判断したことが本件において成約に至った要因でもあると感じた。

また、中小企業に多い傾向にあるが、売上など会社業績が経営者の依存性が高い傾向にある。本件においても前オーナーの影響力は強く、承継後も前オーナーに仕事を継続してもらうことによりマイナス面の影響を抑えている。

前オーナーが仕事できない状況となれば承継後のマイナス影響も大きいため、事業承継を考えるときは引継ぎ期間なども踏まえて長期的な目線で考えていくことが重要と感じた。

(アドバイザー:つながり株式会社 代表取締役 日坂登紀広)

 


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