【経営者向け】M&Aの資金負担とリスクを軽減!「中小企業事業再編投資損失準備金」活用のポイント
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中小企業がM&A(第三者承継や企業買収)を検討する際、経営者様が特に懸念されるのが「買収資金の負担」と「買収後の事業リスク(想定外の損失など)」です。
こうした不安を解消し、中小企業のM&Aを通じた成長・グループ化を国が強力に支援する制度が「中小企業事業再編投資損失準備金(中堅・中小グループ化税制)」です。
本コラムでは、経営者向けに本税制の仕組みと、M&Aにおいて活用する具体的なメリット、手続きのポイントをわかりやすく解説します。
1. 「中小企業事業再編投資損失準備金」とは?
一言で言えば、「M&Aにかかった買収費用(株式購入代金やDD費用など)の一部を、その期の経費(損金)にして税金を安くできる制度」です。
通常の会計・税務ルールでは、M&Aで他社の株式を取得した際、支払った買収代金や仲介手数料・専門家費用(デューデリジェンス費用等)は「資産(子会社株式)」として計上されるため、その年度の経費(損金)には落とせません。
しかし、本制度(国の認定を受けた計画に基づくM&A)を活用すると、株式取得価額等の最大70%(条件によっては100%)を「準備金」として積み立てることで、損金算入(課税所得の減額)が認められます。
2. 経営者が押さえるべき「3つの利用メリット」
① 買収直後の「手元キャッシュ」が劇的に残る(課税繰延効果)
M&Aを実施した初年度は、買収資金の支出に加えて、買収後の事業統合(PMI)、システム統合、従業員の処遇改善など、さまざまな追加費用がかかります。
この税制を使うことで、初年度の法人税等の負担を大幅に抑え、手元にキャッシュを残すことができます。
【簡単なシミュレーション(通常枠:70%損金算入の場合)】
株式取得+DD費用等の総額:1,000万円
損金算入額(70%):700万円
節税(手元に残る資金)効果:約210万円(実効税率を約30%と仮定)
※本来なら全額資産計上されて税金が安くならないところが、約210万円分の税負担が減り、その分をPMIや設備投資、採用活動などの成長資金に回せるようになります。
※据置期間(5年間など)終了後は、原則5年間で均等に取り崩して益金算入(税金の支払い)が発生します(いわゆる課税繰延)。しかし、「買収初期の最もお金が必要な時期」に資金を内部留保できるメリットは極めて大といえます。
② 買収後の「もしも」の減損・リスクに備えられる
M&Aには常に「買収後に隠れていたリスク(簿外債務など)が発覚した」「想定していた業績が出ず、株価の価値を下げざるを得なくなった(減損処理)」というリスクが伴います。
本制度で積み立てた準備金は、将来万が一そのような株式の評価損(損失)が発生した際に、取り崩して相殺(相殺オフ)することができます。突然の損失発生による決算へのダメージを和らげる「財務のクッション」として機能します。
③ 複数回のM&A(グループ化)なら、さらに優遇が拡大!
事業拡大やロールアップ戦略(同業他社を次々と買収してグループ化)を狙う企業向けに、税制優遇が大幅に拡充されています(「特別事業再編計画」枠)。
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通常のM&A(1回目等):取得価額の70%を損金算入/据置期間 5年間
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連続M&A(拡充枠・認定後1回目):取得価額の90%を損金算入/据置期間 10年間
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連続M&A(拡充枠・認定後2回目以降):取得価額の100%を損金算入/据置期間 10年間
積極的にM&Aを重ねて規模を拡大しようとする意欲的な経営者にとって、極めて有利な後押し策となっています。
3. 制度を利用するための主な条件と流れ
制度の適用を受けるためには、「M&Aの契約・実行前」からの準備が必要です。
①デューデリジェンス(事業承継等事前調査)の実施
財務・税務・法務などの事前調査(DD)を適切に行うことが義務付けられています(公認会計士、税理士、弁護士等の専門家の関与等が必要)。
②「経営力向上計画」の策定と認定
M&Aの相手方が決まった段階(基本合意締結後など、株式取得前)で、主務大臣へ「経営力向上計画」を申請し、認定を受ける必要があります。
③株式取得の実行と事後報告
認定を受けた計画に基づき株式を取得後、報告書を提出して確認書の交付を受けます。
④確定申告
確認書等を添付して税務申告を行い、準備金を損金処理します。
4. まとめ:M&A検討の「初期段階」からプロへ相談を
中小企業事業再編投資損失準備金(中堅・中小グループ化税制)は、M&Aを行う買い手企業にとって、「資金繰り支援」「リスクヘッジ」「成長加速」の3つを同時に実現できる非常に有用な制度です。
注意点としては、「株式を取得する前(クロージング前)に計画の認定を受ける必要がある」という点です。売買契約が成立した後に申請しても適用できないため、事前準備が欠かせません。
M&Aを検討し始めた段階で、税理士やM&Aアドバイザーなどの専門家に「この税制を使いたい」と相談し、計画的に手続きを進めることをお勧めします。
※弊社へのご相談はお電話もしくは問い合わせフォームよりご連絡ください。