成約者の声:従業員の雇用継続のための第三者承継を選択した電気工事会社~合併を経て事業シナジーの最大化で粗利率の改善を目指す~
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本件概要
本件は電気工事会社の経営者が年齢的な問題で引退を考えて第三者承継を行った事例である。
売り手企業は大手デベロッパーより一次受けにてマンション等の大規模建築物の電気工事を主事業にしており、買手側の企業も同様の事業形態の会社。かつ物理的にも近い会社であり統合後において合併を行い業務効率、仕入れ効率などをはかり経費の最小化を図りつつ、相互の従業員の交流を通して技術向上などを目指しつつ、業容拡大を目指している。
以下売り手側の経営者にM&Aに至った経緯や現在の状況についてインタビューをさせていただいた。
(執筆:日坂登紀広(中小企業診断士))
会社の沿革と概要を教えてください。
創業が平成14年です。もともと電気工事会社に勤めていましたが勤めていた会社が倒産したことにより47歳の時に独立しました。独立志向はなかったのですが、当時勤めていた時の取引先や周りの人に支えられて事業を続けてこられました。事業内容はマンションや商業施設・法人社屋などの比較的大型の工期が1年以上の建物の電気工事をメインにしております。従業員は私含めて5名の会社でした。
今回事業承継を考えたきっかけやM&Aを選択された理由について教えてください。
自身としては67歳ごろから準備をし始めて69歳の時に会社を承継することができました。事業承継を考えたきっかけはやはり年齢的なことが大きかったです。以前より70歳ぐらいまでには引退したいと思っておりました。
一人でやっている会社であれば廃業でも良かったのですが、従業員も4名います。廃業しても従業員は他の会社でうまくやっていけるとは思いますがこれまで頑張ってくれた従業員のためにもより良い環境にて仕事をしてもらいたいとの思いから廃業ではない道で検討しました。
M&Aを選択した理由は従業員雇用を守るにはそれ以外に方法がなかったからです。私には子供がおりませんので、親族への承継は当初より選択肢としてはありませんでした。
従業員への承継ができればと考えもしましたが、金融機関の借り入れもありこれらの負担を従業員へ負わせるのは、従業員のための承継なのにその従業員を不幸にしかねないとも思いM&Aを選択しました。
M&Aを選択した後はM&Aをするためにどのような行動されましたか?
M&Aについては仲介会社から毎日のように多くの封書が届いておりましたが、正直それに一度も問い合わせるなどのアクションを起こしたことはありません。やはり、どういった会社かもわからないので問い合わせることは非常に怖いという思いがありました。そんな折に公的機関より案内があり、公的機関であれば、多少の安心感はあるということで相談をしたのが始まりです。
その後、「つながり」の日坂さんの他、もう1社紹介いただき、具体的にM&Aを進めていく流れとなりました。その後は日坂さんとのやり取りを中心に進めていった流れです。

今回譲渡した先を選ばれた理由を教えてください。
一番の大きな理由は、従業員を大切にしてくれそうな会社であったというのが理由です。今回の承継の理由としては従業員の継続的な雇用と良好な職場環境での就業でした。その点で今回譲渡した会社は、経営理念等に従業員を大切にするという方針が明確に明記されておりましたしお相手の社長からも従業員を大切にしていると感じられました。
また事業内容としても自社との同様の業種業態であったのも理由です。公的機関含めて色んな会社を紹介いただきましたが、違う業種であったり、業務内容が違ったりはしましたので自分の中でしっくりとくる相手ではなかったですが、今回引き受けていただいた会社は自分の中で業種業態でもしっくりくるものがありました。
自社は先に述べた通り比較的大規模な建物の電気工事業をおこなっており、かつ小さい会社ながら大手のデベロッパーから直接受注している一次受けの会社でした。紹介された会社は住宅向けの電気工事業の会社であったり、電気工事業以外の建設系の会社であったり、同様の建物の電気工事をしていても二次受け三次受けの会社であったりと業種業態が異なる会社が多かったので自分の考える相手先としては不適当でした。今回、引き受けていただいた会社は業種業態も同じで、かつ、物理的な近さもあったのも大きなポイントでした。
M&Aをしてから1年以上が経過しておりますが、M&A後の変化について教えてください。
今回M&Aにて譲り受けていただいた会社は距離感の会社に引き受けていただきました。取引などはなかったのですが名前は知っていた会社です。
M&A後は近い場所ということもあり業務効率化の観点から事務所を先方の事務所に一本化し、その後、両社を合併にて統合、会社名も変更し新しい会社として歩んでおります。
従業員4名は引き続き雇用いただいており、みな以前と変わらず仕事を続けております。そのうち1名においては役職も昇格いただいており、本人も喜んでおりました。またその他の従業員もキャリアアップの機会もいただいており元々の従業員にとってもM&Aをしたことでキャリアの道が拓けて良かったと思います。
私自身もM&A後は以前と変わらず仕事をさせていただいております。当初引継ぎ後1年で終了する予定でしたが、ありがたいことに継続延長をしていただき、報酬もあげてもらい契約期間も2年に延ばしていただき大変うれしく思っています。
またM&Aをしたことにより経済的な負担が軽くなったのも良かったと思っています。自身が会社を運営していた時は、やはり資金繰りをどうするかが大きな悩みの一つでした。仕事柄大きな工事が多く、運転資金も先行して出ていきます。定期的に銀行の借り入れを行い、返済し、また借りるといった繰り返しでした。当然連帯保証にも入っており常に不安を抱えながら仕事をしなければいけませんでしたが、M&A後は借入金・連帯保証も引き継いでいただき気持ちがすごく軽くなりました。
事業承継に悩まれている経営者にご自身の経験を踏まえてアドバイスをいただけますか?
何事もそうですがまず悩んでいるだけでは何も動かないということです。悩んでいるのならまずは行動に移すことが重要です。信頼できる先に相談してみる。信頼できる先がなければ信頼できそうな先が現れるまでいろんなところに相談してみることが良いと思います。
今回わたしは譲渡先にも恵まれアドバイザーとして担当していただいた日坂さんにも恵まれました。運が良かったとは思いますが、それは自分自身が行動した結果良い人を選定できた結果であるとも思っています。
悩んだらまずは行動していただく事をお勧めしたいです。
アドバイザー所感
本件企業は会社再編で新加社として事業を継続し、既存取引・従業員体制を保ちながら、仕入れ競争と経費最適化で粗利の改善を進めている。買い手選定では対等性と大きな母体に基づく安心感、人柄・従業員尊重が決定打となり、誠実な開示と対面の積み重ねで信頼を確立。譲渡により借入リスクから解放され、周囲の反応も好意的。柔軟な承継設計と低コスト仲介の活用で中小零細企業でも持続可能な事業承継を実現できた好事例である。
経営者としての引退や事業承継をご検討の方は是非一度お問合せください。
(アドバイザー:つながり株式会社 代表取締役 日坂登紀広)