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税務上の注意点:中小企業M&Aにおける課税の基礎知識

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2025.08.30
  • コラム

1. はじめに

 中小企業におけるM&Aは近年増加傾向にあります。後継者問題の解決、事業拡大、業界再編など、目的は多様です。しかし、M&Aの取引には必ず「税務上の影響」が伴います。課税関係を正しく理解しないまま進めると、想定外の税負担が発生し、資金繰りや事業計画に影響を及ぼすことも少なくありません。

 ここでは、中小企業M&Aにおける代表的な課税の基礎知識を整理し、注意すべき一般的なポイントを解説します。

2. 株式譲渡と事業譲渡 ― 税務上の違い

(1)株式譲渡の課税関係

売り手側:株主が株式を売却した際の「譲渡益」が課税対象になります。これは個人株主か法人株主かによって税率が異なります。
買い手側:株式を取得しても、その時点では法人税の課税対象となる損金算入などは発生せず、貸借対照表上は「株式の取得」として計上されます。

👉 一般的に株式譲渡は「会社の資産・負債をそのまま引き継ぐ」ため、シンプルである一方、簿外債務リスクが残る点に注意が必要です。

(2)事業譲渡の課税関係

売り手側:譲渡した資産の売却益に課税されます。対象資産には不動産・機械設備・棚卸資産・営業権などが含まれることが多く、それぞれ課税の仕組みが異なります。
買い手側:取得した資産を時価で計上するため、のれん(営業権)が発生するケースもあります。のれんは一定期間で償却が可能ですが、将来的な損益に影響します。

👉 事業譲渡は、資産や負債を取捨選択できる利点がある一方、個別の資産ごとに課税関係が発生するため、株式譲渡よりも複雑です。

3. 課税の典型的な論点

(1)譲渡益課税

 株式・資産いずれの売却でも「売却価格 − 取得価格」が譲渡益となり、課税対象になります。過去の取得価格が不明確な場合、課税額が大きく変動する可能性があります。

(2)消費税の扱い

株式譲渡は 消費税の対象外
事業譲渡では、棚卸資産や機械など一部資産の譲渡に消費税が課される場合があります。

(3)のれん(営業権)

 買い手が支払う買収価格が純資産価額を上回ると、差額は「のれん」として計上されます。のれんは償却可能ですが、償却期間や損金算入の扱いは会計・税務上の重要ポイントです。

(4)繰越欠損金の利用制限

 買収した会社に繰越欠損金がある場合、買収後にそのまま活用できるとは限りません。税法上、一定の制限が設けられています。

4. 実務で見落とされやすい注意点

税負担の時期:売却益に課税されるのは売却した年度であり、キャッシュフローへの影響が大きい。
不動産譲渡税:事業譲渡で不動産を移転する場合、不動産取得税や登録免許税なども発生する。
役員退職慰労金:M&Aを機に支給される場合、その課税関係は会社・受給者双方に影響する。

5. まとめ

 中小企業M&Aにおける税務は、株式譲渡か事業譲渡か という手法の違いで大きく変わります。

株式譲渡 → 譲渡益課税が中心、シンプル
事業譲渡 → 資産ごとの課税、消費税や不動産関連税も関与

 税務上のインパクトは、取引の成否に直結します。経営者にとっては「税務の基礎知識」を持つことが必須ですが、実際の税額計算や最適なスキームの選択は非常に複雑です。


【ご注意】

本稿は、一般的な税務の仕組みを紹介したものであり、特定のM&A取引についての税務判断や申告方法を示すものではありません。実際にM&Aを進める際には、税理士、公認会計士などの専門家に必ずご相談ください

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