中小企業M&Aの企業価値評価の方法について
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- コラム
中小企業M&Aにおける企業価値評価方法
中小企業M&Aにおける企業価値評価は、企業の特性やM&Aの目的によって適切な方法を選択することが重要です。代表的な評価方法としては、コストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチがあり、それぞれ異なる視点から企業価値を算定します。
企業価値を正確に算定することで後悔のないM&Aを実行
中小企業M&Aにおける企業価値評価は、以下の理由から重要です。
✓適正な取引価格の決定: 企業価値評価は、売り手と買い手の間で適正な取引価格を決定するための基礎となります。
✓M&A戦略の策定: 企業価値評価は、M&Aの目的やシナジー効果を考慮したM&A戦略の策定に役立ちます。
✓投資判断の材料: 買い手にとって、企業価値評価は投資判断の重要な材料となります。
✓交渉力の強化: 売り手にとって、客観的な企業価値評価は交渉力を強化する上で有効です。
具体的な評価手法を学ぶ
以下に、中小企業M&Aにおける代表的な企業価値評価の方法を具体的に説明します。
〇コストアプローチ
コストアプローチは、企業の純資産額を基準に企業価値を評価する方法です。主に以下の2つの方法があります。
✓簿価純資産法: 貸借対照表上の純資産額をそのまま企業価値とする方法です。中小企業においては、帳簿上の資産・負債が時価と乖離している場合があり、注意が必要です。
✓時価純資産法: 貸借対照表上の資産・負債を時価評価し、その差額を純資産額として企業価値とする方法です。より実態に近い評価が可能ですが、評価作業が煩雑になる場合があります。
〇マーケットアプローチ
マーケットアプローチは、類似する上場企業の株価やM&A事例を参考に企業価値を評価する方法です。主に以下の2つの方法があります。
✓類似企業比較法(マルチプル法): 類似する上場企業の株価指標(PER、PBRなど)を参考に、対象企業の企業価値を評価する方法です。中小企業の場合、類似する上場企業を見つけることが難しい場合があります。
✓類似取引比較法: 過去の類似するM&A事例を参考に、対象企業の企業価値を評価する方法です。M&A事例のデータ収集が難しい場合があります。
〇インカムアプローチ
インカムアプローチは、企業の将来の収益力やキャッシュフローを基準に企業価値を評価する方法です。主に以下の方法があります。
✓DCF法(割引キャッシュフロー法): 将来のフリーキャッシュフローを予測し、割引率で現在価値に割り引いて企業価値を評価する方法です。将来の事業計画や成長率の予測が重要になります。
中小企業M&Aにおける企業価値評価の留意点
中小企業M&Aにおける企業価値評価では、以下の点に留意する必要があります。
✓非上場企業の評価の難しさ: 中小企業の多くは非上場企業であり、市場での取引価格が存在しないため、評価が難しくなります。
✓経営者の個人的な影響: 中小企業の場合、経営者の個人的な影響が大きく、後継者の有無や経営者の能力も評価に影響します。
✓簿外債務や偶発債務の存在: 中小企業の場合、簿外債務や偶発債務が存在する可能性があり、注意が必要です。
✓知的財産やノウハウの評価: 中小企業の場合、特許やノウハウなどの知的財産が重要な価値を持つことがあり、適切に評価する必要があります。
✓シナジー効果の考慮: M&Aによって生まれるシナジー効果を考慮することも重要です。
具体例の深堀
・コストアプローチの深堀
コストアプローチは、企業の保有する資産や負債に着目するため、客観的な評価が可能ですが、将来の収益性や成長性は考慮されません。そのため、成熟した産業や資産価値の高い企業に適しています。
・マーケットアプローチの深堀
マーケットアプローチは、市場の動向や類似企業の評価を参考にできるため、客観性がありますが、類似企業の選定や市場の変動に影響を受けやすいという側面があります。成長産業や市場価値が重視される企業に適しています。
・インカムアプローチの深堀
インカムアプローチは、企業の将来の収益性や成長性を評価できるため、企業の潜在的な価値を評価できますが、将来の予測が難しく、主観的な要素が入りやすいという側面があります。成長企業や将来性が期待される企業に適しています。
評価手法は複雑なので専門家のアドバイスが必要
中小企業M&Aにおける企業価値評価は、企業の特性やM&Aの目的に応じて、これらの方法を適切に組み合わせることが重要です。また、専門家のアドバイスを受けることで、より精度の高い評価が可能となります。