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従業員への説明はいつ・どのように行うべきか? ――タイミングと伝え方で9割が決まる組織の安定――

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2026.02.17
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はじめに:説明の遅れは「不安」ではなく「不信」を生む

M&Aや事業承継、組織再編において、
経営者が最も頭を悩ませるのが「従業員への説明のタイミング」です。

早すぎると情報が漏れるのではないか
遅すぎると反発が起きるのではないか
何をどこまで話せばいいのか

この判断を誤ると、業績よりも先に組織が崩れることがあります。

従業員にとって最大の関心事は、
「会社が売却されること」そのものではありません。

自分の雇用は守られるのか
給与や待遇はどうなるのか
上司や経営者は変わるのか
会社の方向性はどこへ向かうのか

つまり、自分の未来がどうなるかです。

説明が遅れたり曖昧だったりすると、不安は一気に不信へと変わります。
そしてその不信は、退職・生産性低下・社内対立へと波及します。


第1章 従業員説明の基本原則

原則①:情報は「早すぎても遅すぎてもいけない」

最も重要なのはタイミングです。

理想的なのは、
最終合意(基本合意や契約締結)が固まり、実行が確実になった直後です。

交渉段階での説明 → 不確定情報が混乱を生む
実行直前の突然発表 → 裏切られた感情が生まれる

つまり、

「決まってから、しかし実行前に」

が基本原則です。


原則②:噂より先に公式発表を

M&Aは水面下で進みますが、
人事異動、来客、財務資料のやり取りなどから、
社内で噂が立つことは珍しくありません。

噂が広がると、

「リストラがあるらしい」
「会社が倒産するらしい」
「給料が下がるらしい」

といった誤情報が拡散します。

これを防ぐためには、
噂が出る前、または出始めた時点での迅速な説明が重要です。


原則③:「事実」と「想い」を分けて伝える

従業員説明では、次の2つを明確に分ける必要があります。

1.客観的事実(契約内容・雇用条件)

2.経営者の想い(なぜ決断したのか)

数字や制度だけを伝えても不安は消えません。
逆に想いだけでも信頼は生まれません。

事実+背景+将来像の3点セットが不可欠です。


第2章 説明のベストタイミングとは

1. 基本合意後〜クロージング前

実務上最も多いのは、

買い手との契約条件が確定
雇用維持方針が整理済み
統合スケジュールが決定

この段階での全社員説明です。

このタイミングなら、

不確定要素が少ない
従業員の疑問に具体的に答えられる
実行までに心の準備期間がある

というメリットがあります。


2. 管理職への先行説明は有効か?

ケースによっては、

部長クラス
店長・工場長
キーパーソン社員

へ先行説明を行うこともあります。

ただし注意点があります。

先行説明は、

組織安定に寄与する場合もあれば
情報漏洩や内部対立を生む場合もある

つまり、信頼できる幹部に限定して慎重に行うべきです。


3. 説明が遅れた場合のリスク

説明が遅れ、

取引先から知らされる
ニュースで知る
買い手側から先に話が出る

という事態になると、従業員の心理は一気に冷えます。

「なぜ自分たちには何も言ってくれなかったのか」

この一言が、統合後の組織運営に長く影を落とします。


第3章 どのように説明すべきか

1. 形式は「全体説明+質疑応答」が基本

理想的な形式は、

1.経営者による直接説明

2.買い手代表からのメッセージ

3.質疑応答

4.後日フォロー面談

特に重要なのは、
経営者本人が自分の言葉で語ることです。

文章配布だけでは不十分です。


2. 説明すべき具体項目

従業員が最も気にするのは次の点です。

雇用は守られるのか
給与・賞与はどうなるのか
勤務地は変わるのか
組織体制はどうなるのか
経営者は退任するのか
会社名やブランドは変わるのか

ここを曖昧にすると、不安は増幅します。

分からない部分がある場合は、

「現時点では未定だが、○月までに決定する」

と期限を明示することが重要です。


3. 絶対に避けるべき説明

「心配しなくて大丈夫です」だけで終わる
「決まったことだから従ってほしい」
質疑応答を設けない
一度説明して終わり

これらは、不安を沈静化するどころか、反発を生みます。


第4章 説明後のフォローが真価を決める

説明はスタートであってゴールではありません。

M&A後の組織で重要なのは、

定期的な進捗共有
小さな変化の説明
現場の声の吸い上げ

です。

統合後3か月〜6か月は特に重要です。

この期間に

退職者が出るか
生産性が落ちるか
組織が安定するか

が決まります。


第5章 説明の質が企業価値を守る

M&Aでは、
財務数値だけでなく「人的資産」も価値の源泉です。

従業員が動揺し大量離職が起きれば、
企業価値は瞬時に毀損します。

逆に、

説明が丁寧
将来像が明確
経営者が誠実

であれば、従業員は驚くほど冷静に受け止めます。

従業員は変化そのものを恐れているのではありません。
自分が尊重されないことを恐れているのです。


おわりに:説明とは「信頼の再契約」である

M&Aや事業承継は、
企業にとって大きな転機です。

しかし従業員にとっては、
「生活そのものの転機」です。

説明のタイミングと方法を誤れば、
統合は困難になります。

適切なタイミングで、
事実と想いを丁寧に伝え、
対話を重ねること。

それは単なる情報共有ではなく、
従業員との信頼を再契約する行為なのです。


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