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後継者のいない会社を買う際の法務的チェックポイント

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2025.09.17
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はじめに:後継者不在が増加する中でのM&Aの重要性

 日本の中小企業では、経営者の高齢化と後継者不足が深刻な課題となっています。親族や社内に後継者がいない企業が増えるなか、M&Aによる第三者承継は事業継続の有力な解決策です。買い手にとっても、既存の事業基盤や顧客、ノウハウを獲得できる大きなチャンスとなります。

 しかし「後継者不在の会社」は、その背景から法務リスクが潜んでいるケースも少なくありません。買収を成功させるには、財務だけでなく法務面のチェックを徹底することが不可欠です。


第1章:契約関係の確認

1. 取引先との契約書の有無と内容

  • 主力取引先との契約が口頭や覚書レベルで済まされていないか。
  • 長期契約や独占契約の条項に不利な条件がないか。
  • キーマンである経営者個人に依存した契約ではないか。

2. リース契約・賃貸借契約のチェック

  • 工場や店舗の賃貸借契約が経営者個人名義ではないか。
  • 解約条項や更新条件にリスクがないか。

3. 知的財産権の帰属

  • 商標・特許・著作権などが会社名義で登録されているか。
  • 経営者個人や親族名義になっていないか。

第2章:労務関係の確認

1. 労働契約の整備状況

  • 就業規則や雇用契約書がきちんと作成・更新されているか。
  • 社員の労働条件が実態と乖離していないか。

2. 未払残業代や労務トラブルの有無

  • 勤怠管理が曖昧で、潜在的に未払賃金が発生していないか。
  • 労働基準監督署からの是正勧告履歴がないか。

3. 退職金・年金制度の確認

  • 規程が存在するか、積立不足がないか。

第3章:許認可・ライセンスの確認

 後継者不在企業では、許認可が経営者個人名義になっているケースが少なくありません。

  • 建設業、飲食業、運輸業などは許可の「名義」や「更新条件」に注意。
  • 承継後に事業が継続できるかどうか、引継ぎ要件を事前に確認する必要があります。

第4章:会社組織・ガバナンス面の確認

1. 定款・株主構成

  • 株式譲渡制限の有無。
  • 親族や複数株主が絡んでおり、承継手続きが複雑化しないか。

2. 取締役・監査役の任期や登記状況

  • 登記事項が最新か、役員が実態通りか。

3. 社長個人と会社の分離度

  • 個人資産と会社資産が混同されていないか。
  • 個人保証や担保提供が残っていないか。

第5章:潜在的債務の有無

  • 保証債務(経営者個人が保証しているケースが多い)。
  • 訴訟・係争案件の有無。
  • 環境関連の負債(産廃処理、土壌汚染など)。

後継者が不在のまま経営を続けてきた企業では、整理が十分に行われていない場合があるため特に注意が必要です。


第6章:チェック体制と専門家の活用

 法務的チェックは専門的知識が必要な領域です。実務では、M&A仲介会社やFAのサポートに加え、弁護士、公認会計士、司法書士などの専門家と連携しながらデューデリジェンスを行うのが一般的です。買収後に予期せぬリスクを抱え込まないためにも、外部の知見を活用することが不可欠です。


まとめ:法務チェックは「安心して引き継ぐための必須プロセス」

 後継者のいない会社を買う場合、法務的なリスクは軽視できません。契約、労務、許認可、組織、潜在債務など多岐にわたる確認を徹底することで、買収後のトラブルを未然に防ぐことができます。

 M&Aは「事業を引き継ぐ」だけでなく、「安心して未来を描ける基盤を整える」行為です。法務チェックを怠らず、着実な承継を実現することが、買い手・売り手・従業員すべてにとっての成功につながります。

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